トルコ1人旅 -④イスタンブール、まさかの出会い編-
前回の記事はこちら ↓
ocean-blue-adventure.hatenablog.com
夜、カッパドキアに恋してしまった私を乗せ、
夜行バスはイスタンブールへ出発した。
"トルコの高速バスはかなりハイテク&サービスがすごい"
と聞いていた。
いざ体験してみたらこれが想像以上。
まず、車内がキレイで、座席も広い。
そして、飛行機の座席にあるようなモニター付きなので、
好きな映画やドラマが見放題。
さすがにトルコ語オンリーなので
私は見なかったけど(笑)
さらに、出発前にドリンク、ちょっとしたお菓子のセットが
一人一人に配られる。
ドライバーの他にバスガイドさん的な人もいて、
出発後も何回か飲み物サービスをしてくれた。
まるで飛行機の機内サービスみたいだと思った。
トルコのバスに大満足し、調べものや仮眠、
もらったお菓子を食べたりしているうちに、あっという間に
最初のトイレ休憩。
ここで、思いがけない出会いが訪れる!
サービスエリアでお土産物や食べ物を見ていると、
近くにアジア人のおじさんが。
他にアジア人の乗客はおらず、仲間を見つけた!とばかりに
「Hi~!!」
親しげに声をかけられた。
(何やこのおっさん.....)
警戒する私。
おっさんの見た目は、背は165cm前後、小太りでちょっと髪が薄く、
顔はいたって普通。
はっきり言って、初対面でわざわざ親交を深めたい、と
思えるような魅力は一切ない。(何様やねん)
「どっから来たの?日本?おー、ボク台湾人だよ~!」
怪しいなとは思いつつも、暇なのでとりあえず話していると、
おっさんは台湾ではプロのカメラマンで、
イスタンブールに向かうのは仕事のためだと言う。
(ほんまか~????? 胡散臭~・・・)
どうやってこの場を切り抜けようか考えている私とは裏腹に、
おっさんの話は止まらない。
それどころか、なんと、私の写真を撮りたいと
言ってくるではないか!
「一目見て魅力的だと思ったんだよ!」
「君なら絶対いい写真が撮れると思うんだ!」
いい素材を見つけた!とばかりに、
なぜか勝手にかなり興奮しているおっさん。
Ocean、警戒MAX!!!!!!
怪しすぎる!絶対付いてったらあかんやつや!
こんなん、絶対危ないとこ連れてかれるやん!
ふーん、そっかそっか~、また会えるといいね~
と適当なことを言って、バスに戻った。
ふー、危なかった。
・・・世界にはいろんな人がいるもんだ。
いくら旅初心者の私でも、これは危ないとわかる。
警戒、警戒。
でも、もうこれで関わることはないだろう。
バスが再出発し、おっさんのことはいつの間にか忘れていた。
・・・まだこの時は。
約半日かけて、朝、バスはついにイスタンブールに到着。
バス停は街からだいぶ外れているので、
中心へ向かうには地下鉄やバス等、さらに他の交通手段が必要。
他の乗客たちは各自さっさと目的の方向へ向かっていく。
はて、どうしたもんか…
と、同じバスから別のアジア人男性も下りてきた。
お、なんか日本人っぽいぞ?
しかも若くて清潔感もありそうな好青年。
(おっさんの時とは印象がだいぶ違う… ごめん笑)
話してみると、彼はやはり日本人で、私と同様1人旅をしていた。
嬉しくならないわけがないOcean。
そこへ、イスタンブールの中心へ行くバス?タクシー?
に乗ったドライバーがやって来て、乗るかと声をかけてくる。
話してみるとちゃんとした定期交通の会社の人のようで、
私たちは乗せてもらうことに決めた。
(この人も一緒なら心強いな。。。)
するとそこへ、
乗せてくれ、と、もう一人乗客がやってきた。
それはなんと…
さっきのあのおっさん!(ガーン)
まじか、このおっさんまだおったんや…
「あー!君!また会えたね!一緒に行こうよ♪」
できれば関わりたくないけど、
私に彼の旅路を選択できる権限なんてない。
しぶしぶ3人で街まで向かうことに。
ドライバーさんも含め4人で和やかに話す。
車内の雰囲気は意外になかなかいい。
日本人の若者に休憩所での出来事を話す。
「ほんとかな~?」と、同様に疑う彼。
「ねー。何か胡散臭いですよね~。」
しかし次に彼から発せられたのは意外な言葉だった。
「でもまあ、何か面白そうだから行ってみない?」
え??
「こういうのってなかなかない経験だしね。
面白くなかったらそこで断ればいいんだし。」
そ、そう来たか。
さすが、旅慣れしてる人は違う。
でも確かに、ホンマかどうかはさておき、
プロのカメラマン(しかも海外の)に写真を撮ってもらうなんて
やったことないし、貴重な経験やん。
それにこのお兄さんも一緒やし、大丈夫かな?
そう考えるとワクワクしてきた私。(単純。)
しばらくして中心街へ到着。
1時間後にアヤソフィア前集合の約束をし、おっさんと別れた。
ホテルに荷物を置き、約束の場所へ向かう私とお兄さん(=A君 とする)。
おっさんは既にいて、早速何かを撮影している。
「ハロー。じゃあ街を周りながら自然な感じで撮って行こうか!」
言うなり、撮影会が始まった。
私とA君の予想に反し、どんどん撮っていくおっさん。
ビビるOcean(笑)。
しかし、撮影に対する姿勢からすぐに、
おっさんが本物のカメラマンだということがわかった。
例えばキレイな鳥がとまっていたり、子どもたちが笑っていたり...
そういう瞬間に出くわすとすぐさま走っていき、撮影体勢に入る。
その一瞬を絶対に逃すまい!と、
膝をつき、位置を変え、時には躊躇なく寝転ぶ。
何枚も、何枚も撮っていく。
フィルムは足りるのだろうかと
こちらが心配になるぐらい撮るおっさん。
浴びたことのない数のシャッターをOceanも浴びた。
おっさんはプロだった。
表情が硬いOceanの笑顔を引き出そうと、
あの手この手で撮ってくる。
でもそれがいたって自然かつリズミカルなので、
難なく素の笑顔が出る。
遠くから、下から、座って、何かを持って…
次々とポーズの要求。
でも不思議と嫌じゃなく、いつの間にか楽しんでいる自分がいた。
もうすっかりおっさんに心を許していた。
おっさんは公園で編み物をしている地元のおばさんや
泳いでいた子供たちにも声をかける。
「このお姉さんと一緒に写真撮ってみない~?」
「行くよー、だめだめ、もっと笑ってー!、Yeah-!!」
そしてみんなを笑顔に変えていく。
おっさんのおかげで私もかけがえのない写真を
何枚も撮ることができた。
1人だったら現地の人と写真なんて撮っていなかっただろう。
A君も「さすがプロだなあ~」と感心。
...もうおっさんのあの第一印象は完全に消えていた(笑)。
…あの時はゴメンナサイ(テヘっ)。
気の済むまで撮ったおっさんは
最後に私たちをおススメスポットに連れて行き、
夕食までごちそうしてくれた。
世界にはいろんな人がいる。
旅をしてそういう人たちと予想外の出会いをする。
そして自分の世界が広がっていく。
これが旅の醍醐味なんだな。
カメラマンとして世界中を飛び回っているおっさんは
Oceanの世界を広げてくれた。
これは旅から帰ってしばらくしてからになるのだが、
おっさんはその後撮影した写真を送ってくれた。
びっくりするぐらいのいい写真たちだった。
思いがけない出会いから始まったイスタンブール。
わたしは旅の魅力にどんどん憑りつかれていった。